本人の状況に応じて最適なものを選ぶ
身体の状態やどれだけの介護が必要なのかは人によって違います。退院後に自宅で生活を送る場合、在宅で利用できる介護サービスを事前に知っておかなければなりません。自宅での生活が厳しいのであれば介護施設に入居する必要がありますが、リハビリの有無や医療ケアの対応範囲などは施設によって違います。そのため、本人が抱える症状に応じて利用する介護サービスを選ぶことが大切です。
症状別介護サービス例
自宅で生活を送りながらリハビリによる体力回復が必要な場合は、専門家が医師の指示に基づいてリハビリを実施する「訪問リハビリテーション」や、指定された施設で日帰りの機能訓練を受けられる「通所リハビリテーション」を利用します。介護施設に入居する場合、リハビリを重視するのであれば「介護老人保健施設」と選ぶといいでしょう。民間業者が運営する「有料老人ホーム」の中にもリハビリ体制が充実したものがあります。
療養上の管理や指導が必要で、自宅で療養しているものの通院が困難な場合は「居宅療養管理指導」を利用します。医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士などが自宅に訪問して療養上の管理や介護のアドバイスをしてくれます。
認知症を伴いながら、住み慣れた地域で生活を送りたい場合は「認知症対応型通所介護」を利用します。認知症高齢者への食事・入浴や機能訓練などのサービスを日帰りで受けられます。また、認知症高齢者が共同生活を送りながら必要な介護を受けられる「認知症対応型共同生活介護」もあります。これは一般的に「グループホーム」と呼ばれているものです。
生活環境の変化や身体機能の低下などがきっかけでうつ病を発症する高齢者もいます。一般的なうつ病とは異なり、症状の一部が強く現れるケースも少なくありません。この場合は精神科や心療内科などを受診して治療を受ける必要があります。治療が長引く可能性もあるので、その場合は医師と相談した上で訪問介護の利用や入院を検討する必要があります。
まとめ
高齢者が病気やケガで入院した際は療養に専念して少しでも早く症状を回復しなければなりません。そのためには周囲のサポートが必要不可欠です。入院によってこれまでとは全く異なる生活環境になり、それが心身に大きな影響を与える可能性があります。また、入院の長期化によるリスクも考慮しなければなりません。高齢者本人や家族にとって最善の選択をするためには、退院後の生活を考えた上でこれから必要となる介護サービスを見極める必要があります。